八月十六日の京都の夜は
大文字―五山送り火。

子供の頃は、大文字山からほど近い所に住んでいたので、
外に出ると、火の粉が舞うのが見えるほど大きな「大」がありました。

若い頃は、よく見える穴場?を求めて観に行ったものです。

今は…リアルタイムにテレビで観て、厳かな気持ちになっています。
見方も、心持ちも、年をとるにつれ、変わってきました。

テレビに映った大文字をみながら、ちょっと遅目の晩ご飯。
今日は「大文字蕎麦」です。
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明治維新の頃まで、
大文字の夜に、御所では、宮中の方々が池に映る大文字を眺めながら、
お蕎麦を食されたとか。下働きの人々にも振る舞われたらしく、
その習慣が、民間にも広がったと聞きます。

器の水に映った「大」の字を眺めてから飲みほして、
その器にお蕎麦を入れていただくと良縁にめぐまれる

或いは、

盃を満たしたお酒に映った「大」をながめ飲み干すと
無病息災に暮らせる

などといった言い伝えもあるようです。
が、最近では、「大文字蕎麦」は、ほとんど聞いたことがありません。

ともあれ、今年は、大変なことが起こった年、
様々な 祈りをこめ、眺めている人が多いことでしょう…
震災で被災された方々やご家族のことを思い、
ひときわ特別な心持ちで眺めた送り火でした。。。


註)大文字の夜にいただくお蕎麦が「大文字蕎麦」です。 
  写真のお蕎麦は、変わりとろろ蕎麦です。
  (とろろ蕎麦が「大文字蕎麦」ということではございません)

◆ 変わり とろろ蕎麦
【材料】(約4人分)
  蕎麦 4人分、  長芋 300~400g、 うずら卵 4個、 海苔 適宜、
  わさび 少々、  蕎麦つゆ 適宜、  白炒りごま 適宜
【作り方】
  ① 長芋は皮を剥いて、水につけアク抜きをしてから、千切りにする。
    スライサーを使うと極細になります。
  ② 蕎麦はゆでて、流水で洗って締め、水をきって器に盛る。
  ③ 上に、①の長芋をのせてその上にうずら卵を落とし、
    もみ海苔をちらし、わさびを添える。
  ④ 上から、めんつゆを回しかける。
  ⑤ お好みで、炒りごまをふりかけてどうぞ。

※ 蕎麦つゆの作り方
  だし(昆布・かつお・干しいたけ)2.5カップを煮立てて、砂糖小さじ1、
  みりん、醤油 各大さじ4、塩ひとつまみ、を加えて煮たものを冷やす。